指輪作家カワベマサヒロさんの個展「アットアンカー『錨泊(びょうはく)』」が11月15日、倉敷・児島のデザイン事務所「after hour(アフターアワー)」(倉敷市児島下の町9)で始まる。
カワベさんは、工業用のステンレスナットをやすりで削り出して成形し、たがねで表面に模様を打ち付け、磨き上げるまでの全工程を手作業で行い指輪を作り上げる。個展の開催は3年ぶりで、新作を中心に70点以上を展示販売する。
会場は、以前からカワベさんの個展のDMやポスターなどを手がけてきたグラフィックデザイナー渡部龍さんの事務所。今回の個展は同事務所の開業20周年記念と併せて開催する。「龍さんとは20代前半からの付き合い。気が合う人と楽しみながら準備ができた」とカワベさん。
展示タイトルの「錨泊」には、船が錨(いかり)を下ろして停泊するように、形式にとらわれず気が向いた場所で気軽に個展を開くという意味を込めた。同展を第1回とし、今後も場所を変えて継続していく予定。
会場では物販を行うのはカワベさんにとって初めて。作品集(1万5,000円)やポストカード(300円)を販売するほか、コーヒーも提供する。併せて、カワベさんが2年ほど前から使い始めた「ジーベックテクノロジー」製のセラミック砥石(といし)や、長年愛用している「ツボサン」製のやすりなどの紹介コーナーも。
制作にセラミック砥石を使った新デザインの作品も今回初展示する。カワベさんは「新しい道具によって新しい技術や技法が生まれ、デザインや模様の可能性が広がった。自分は一度やりだすとやめないので、5年、10年と続けていくことで道具の扱いもうまくなり、さらに作品のバリエーションも増えていく。これから先も楽しみ」と話す。
「普段は作業場にこもって制作しているので、皆さんに会って進歩した作品を見てもらえるのが楽しみ」とも。
開催時間は10時~16時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。18日・19日は休催。入場無料。24日まで。