
大原芸術財団(倉敷市中央1)が現在、エル・グレコ「受胎告知」の修復事業を行っている。
「受胎告知」は、ギリシャ生まれの画家エル・グレコ(1541~1614年)が1590~1603年ごろにスペインで制作した宗教画。聖母マリアがイエス・キリストを身ごもったことを、大天使ガブリエルから告げられる場面を描いている。後に大原美術館を設立する大原孫三郎の支援の下、洋画家・児島虎次郎が1922(大正11)年に渡欧して購入した。修復は1959(昭和34)年以来66年ぶりで、一般財団法人クラレ財団の助成を受けて行う。
修復作業はスペインのプラド美術館から招へいした絵画修復士エバ・マルティネスさんが7月17日から行っており、8月中旬に終了する予定。再展示は9月以降となる見通し。
「過去の修復時に施した加筆によって覆い隠された部分や酸化したワニスを取り除くことで、エル・グレコ自身の生き生きとした表現や透かし技法を見せることができる」とマルティネスさん。「この修復事業に参画できることはとても光栄なこと。最終的には、エル・グレコが描いた当時の『受胎告知』に近い状態で本作を披露できるだろう」と話す。