倉敷在住の写真家・森貴彩さんの初個展「近距離の彼方」が現在、アート複合施設「ラガルトプラス」(倉敷市阿知3)の2階ギャラリーで開かれている。
県内外で撮影した美しい風景、雨風がつくり出す抽象的な砂の模様、スタジオで超マクロ撮影した鉱物の模様などを捉えた作品が並ぶ。幅1.8メートル、高さ1.2メートルの大型紙にプリントしたモノクローム作品2点を中心に、約40点展示する。プリントした写真を10センチ四方のアクリルキューブに貼り付けたユニークなオブジェ作品もある。
香川出身の森さんは倉敷芸術科学大学芸術学部で彫刻を学び、卒業後は倉敷の観光ホテルに就職し、文化事業担当として地域の伝統産業やクラフト作家を紹介する企画展をプロデュースした。2017(平成29)年に独立し、写真撮影・映像制作、デザインを手がける事務所を開設した。
2022年から、書道家の妹と互いの作品を見せ合うようになり、「墨の美しさに魅せられ」てモノクローム撮影に目覚めたという。カラーで撮影した写真をモノクロームに変換するのではなく、モノクローム設定したファインダーをのぞきながら撮影する。「モノクロームで世界をのぞき込むと、豊かなグレーの階調が奥行き感を生み出し、自然のつくり出すさまざまな形やディテールへの意識が高まる」と森さん。
「大きいものと小さいもの、遠いものと近いもの、肉眼で見えるものをぼかしたものと肉眼で見えないものを可視化したものなど、作品同士が持つコントラストを楽しんでもらいたい」とも。
営業時間は11時~18時。営業日は土曜・日曜・月曜日。入場無料。6月26日まで。