岡山県笠岡市在住の造形作家・川埜龍三さんの個展「漂泊/WANDERING」が現在、倉敷美観地区の「きび美ミュージアム」(倉敷市中央1、TEL 086-425-8080)で開かれている。
新作を中心とした立体・平面作品合わせて35点を3つの展示室で展示する。展示室で流す音楽も川埜さん自身が制作したもので、展示室ごとに異なる音楽を使う。
少女の身体を犬が貫いているように見える新作の立体「if(アイエフ)」(2024年)は「彼女の空想上の友だち『妖犬』の存在が周りに気づかれないように、人差し指を口に当てておとなしくするように伝えている」と川埜さん。「真夜中の冒険」(2024年)は、眠そうな目をこするパジャマ姿の少女がカラフルな鳩に乗ってどこかへ向かっていくように見える立体作品。「常夜海(とこよのうみ)」(2014年)は、赤い血が流れ出る小舟に乗った女性が暗闇の中を漂流する様子を表現している。
川埜さんは「今回の作品はいずれも、旅、冒険、漂流、時間など『どこかに向かっている』ので、タイトルを『漂泊』にした。作品それぞれが語りかけてくる『漂泊』の風景を、自由に感じ取ってもらえれば」と話す。
会期中の土曜・日曜・祝日は、カフェ『漂泊』をオープン。川埜さんの作品に着想を得た「漂泊ミルクプディング」(650円)、「銀河を旅するクリームソーダ」(700円)などスイーツとドリンクを提供する。
立体作品「if」の原画を元にしたA4サイズのぬり絵を自由に色鉛筆で色付けする「ぬりえであそぼう。」や、好きな展示作品が自分に語りかけてくる物語を文章、詩、絵、俳句などで自由に表現する「ものがたりをつくろう。」などのワークショップ(参加無料)も常時行う。
会場近くにあるギャラリー「ラガルトプラス」(阿知)では、川埜さんが幼少時代に描いた絵にインスピレーションを得て、素朴なタッチで描いた新作の絵画作品を中心に展示する「Drawings 1(ドローイングス・ワン)」も同時開催。「スタイルの異なる100点以上の立体と平面作品を一度に見られるのは珍しいので、美観地区を回遊しながら両会場に足を運んでほしい」と川埜さん。
開館時間は10時~18時(カフェは11時~16時)。月曜・火曜休館(祝日は開館し翌日休館、8月14日は開館)。観覧無料(川埜龍三展以外の展示を観覧する場合は別途入場料)。8月18日まで。