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巨大なイヌの像、犬島へ向け出航へ-瀬戸内海を「お散歩」

造形作家の川埜龍三さんの手にはイヌの目玉

造形作家の川埜龍三さんの手にはイヌの目玉

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 造形作家の川埜龍三さん(笠岡市)が制作した巨大なイヌの像が5月18日、工房近くの埠頭(ふとう)から設置場所の犬島(岡山市東区)へ向け、瀬戸内海の島々を巡りながら横断する2泊3日の「お散歩」に出る。

作業中のため目玉と耳がないイヌ

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 「イヌのお散歩」は、川埜さんの個人プロジェクト「犬島ハウスプロジェクト」の一環。犬島にある、おかやま山陽高校所有の「海の家」を犬小屋に見立て、巨大なイヌの像(奥行き5.1メートル×高さ3メートル×幅2.4メートル)を恒久設置するもの。同校の学園長である原田三代治さんが「未来の子どもたちに希望を与えたい」と川埜さんに持ち掛けて始まった。イヌの表面には、一般参加者が自由に絵や文字を彫り込んで制作した陶板タイル約6000枚が埋め込まれる予定。これまで倉敷、東京、大阪、京都などで一般参加のタイル作りワークショップを行ったほか、全国から郵送での制作参加を受け付け、1000人以上が参加した。

 イヌを載せた船は5月18日、シンガー・ソングライターさいとういずみさんによるテーマ曲「犬様御用」の生演奏に見送られ笠岡の埠頭を出航。白石島では地元の中学生がカヤックで出迎え、海上でイヌに合流。小学生たちが港で出迎える。19日は与島、児島、渋川海岸の沖を通過し直島に1泊。20日は豊島、牛窓を通り、最終目的地の犬島に到着する。「たった50キロの船旅だがイヌにとって一生に一度の『お散歩』。ただ業者が運搬するのではなく、高い志を持った人たちが島から島へと渡りながら運んでいく。設置された後にも「このイヌは昔、海を散歩しながら渡ってきた」という伝説になる」と川埜さん。「先日、旅の安全祈願のために犬島を訪れた時、多くの人に『イヌはいつ来るんですか?』と声を掛けられた。みんなに待ち望まれている」

 「お散歩」を終えたイヌは、内外に1センチ厚の特殊なセメントを吹き付けるなど、恒久設置のための処理を施される。全国から集まった約6000枚のタイルを埋め込む作業は、7月中旬から川埜さんが行い9月に完成させる。10月にはオープンハウスを行い、申込制で一般公開する予定。

 「イヌのお散歩」のルートと時間はホームページで確認でき、倉敷市内では13時30分ごろ、児島地区の沿岸から見える可能性が高いという。潮や風向きなど、天候の状況によりルートや時間が変更になる場合もあり、川埜さんは「『イヌのお散歩』なので、気になる場所に立ち寄ったりマーキングしたりするため」としている。

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