造形作家・川埜龍三さんが犬島(岡山市東区)で取り組む「犬島ハウスプロジェクト」の巨大なイヌの像が10月20日、完成を記念して島民らにお披露目された。11月1日から期間限定で「イヌの体内」も一般公開する。
おかやま山陽高校(浅口市)が犬島に所有する海の家を犬小屋に見立て、上半身を出して伏せる巨大なイヌの像(全長5.1メートル×高さ3メートル×幅2.4メートル、重量約2トン)を恒久設置する同プロジェクト。同校の原田三代治学園長が2年前、「未来の子どもたちに希望を与えられるような作品を」と川埜さんに持ち掛けて実現した。
イヌの表面を覆うのは約2万枚の陶板タイルで、その中心となるのが全国各地で今春行われたワークショップの参加者約1600人による約5000枚の備前焼タイル。似顔絵、願い事、乳児の足型、メッセージなどが刻まれたさまざまな形のタイルを、川埜さんが2カ月かけて1枚ずつ貼り付け、濃淡でイヌの毛並みを表現した。「イヌの体は、タイルを作ってくれた全国のみんなのエネルギーでできている。飼い犬の象徴である首輪には島民約50人の名前やメッセージが刻まれたタイルを貼る予定。これで島民の番犬になる」と川埜さん。
「一過性のものではなく、タイル作りをした子どもが大人になり、子どもや孫を連れて訪れるような、長く楽しんでもらえる存在になれば。自分も時々ここに戻って制作を続け、このイヌがどう成長していくのかを見守っていきたい」とも。
同作品の外観は常時観覧可能。通常非公開の体内を一般公開する「オープンドッグハウス」は11月1日~11日。8時~18時。観覧無料。