ホタルが見頃を迎えた倉敷市酒津公園の八ヶ郷用水沿いで6月3日、「ホタル講演会・観察会」が行われた。主催は「酒津のホタルを親しむ会」。
講演会は、八ケ郷用水のほとりにある「水辺のカフェ 三宅商店 酒津」(倉敷市酒津、TEL 086-435-0046)で行われ、倉敷市役所建設課勤務でホタル研究家の岡本勇さんが、ホタルの生態と環境整備の取り組みについてスライドを交え解説。その後の観察会では、参加者約80人が八ケ郷用水沿いを酒津配水池まで歩き、点滅しながら飛行するゲンジボタルに歓声を上げた。
酒津公園の酒津配水池とその周辺の用水路にホタルを飛ばす取り組みは同会により2008年にスタート。当初は倉敷ホタル愛好会(真備町)に分けてもらった幼虫を放流したが失敗。その後、水辺の環境を整備し成虫の飼育・産卵の段階から挑戦することで、昨年から1日20匹程度の飛行を確認できるようになった。三宅商店の敷地内に流れる小川でも1日あたりゲンジボタル3匹、ヘイケボタル10匹程度を確認できるという。
「用水の源流である高梁川の水質は良く、ホタル生育の条件を満たしている。課題は、上陸した幼虫がサナギになるための土や、成虫が交尾するための樹木や暗闇が不足していること」と同会・会長の武内立爾さん。「鑑賞期間中の、街灯の消灯やカバーの設置、用水路斜面の草刈り時期の調整など、市や農業土木委員の理解と協力には感謝している。農業用水本来の目的を妨げることがないよう配慮しながら、ホタルの数を増やしていきたい」と語った。
その他の地域では、美観地区の倉敷川に2年前から幼虫を放流。今年初めて10匹程度のヘイケボタルが確認された。今年からは、JR倉敷駅前に整備された「くらしきみらい公園」を流れる用水にも幼虫を放流。国内でも類を見ない「駅から徒歩1分の市街地でホタルが観察できる環境」の実現が期待されている。
酒津配水池周辺でホタルが見られる期間は通常10日前後。月が明るくない夜の20~23時ごろが適しているという。