倉敷インター近くの青いコンテナが目印のハード系パン店「UNION(ユニオン)」(倉敷市平田、TEL 086-434-8154)が6月で1周年を迎えた。
同じ場所で10年間、カフェ「EARTH LIFE」を経営していた現店主の梶谷輝行さんが、「本格的なヨーロピアン・スタイルのパン店を始めよう」と、パン職人で現店長の鳥越純平さんに声を掛け昨年6月にオープンした同店。「パン、スイーツ、自家焙煎(ばいせん)コーヒー、それぞれの専門家が集まっていいものを作る」との思いから、「結合」「組合」などを意味する「UNION」と名付けた。梶谷さんはコーヒーの焙煎を、鳥越さんはパンのコンセプトと全工程を担当、元パティシエのスタッフと共にスイーツ系のパンも手掛ける。
「倉敷に限らず地方では、菓子パン、総菜パンを扱うパン店が主流。オープン当初は、入店した客が目当てのパンを見つけられず何も買わずに帰っていくこともあり、作ったパンの半分を廃棄する日もあった」と梶谷さんは振り返る。「昨年秋ごろから口コミで徐々に客が増え、現在では当店のパンを目指して来る方も多い」と話す。ハード系パンが主流であることから、スイス・アメリカ・フランスなど外国出身の客、海外渡航歴や海外在住経験のある客が多いという。現在では倉敷中央病院(美和)の売店でも約10種のパンを販売する。
17坪の店内には、「クロワッサン」(170円)、「クロックムッシュ」(280円)、「バタール」(350円)、自家製の酒種(さかだね)を使った食パン「パンドミ」(1斤380円)、米カリフォルニアの「ACME BREAD(アクメ・ブレッド)」に株分けしてもらった酵母を日本人に食べやすいようアレンジして作った「ルヴァン」(4分の1カット250円)など約15種類のパンを並べるほか、「かぼちゃパン」「じゃがいものフォカッチャ」「もち玄米とヨモギのパン」など、季節ごとに旬の素材を使った期間限定パンも用意する。コーヒーは、鮮度を保つために小さい焙煎機でこまめに焙煎するよう心がけているという。
東京・富ヶ谷のパン店「ルヴァン」で2年間、天然酵母の製パンを学んだという店長の鳥越さん。岡山に戻ってからは積極的に食べ歩き、イーストの低温長時間発酵を独学で習得した。「小麦をはじめ、国産の素材を使うことにこだわっている。国産小麦はパン作りに向かないと言われているが、手間を惜しまなければおいしさは引き出せる。こねてから焼き上げるまで24時間かけている」という。「当店のパンは、軽く温めると歯切れが良くなり、味わい深くなる。トースターがなければフライパンでもいい」と、おいしい食べ方のこつも。梶谷さんは「今後も基本に忠実に、おいしいものを地道に出していく」と2年目の抱負を語った。
営業時間は9時~19時。火曜・第4水曜定休。