1907(明治40)年創業の倉敷木材(倉敷市中島)が設計・施工した「倉敷の家」が3月17日、一般社団法人パッシブハウス・ジャパンが主催するコンペ「エコハウス・アワード 2017」で最優秀賞を受賞した。
省エネルギーでデザイン性や快適さに優れた住宅を選出する同コンペ。「倉敷の家」は、一次審査を通過したノミネート作品17作品の中から、ウェブ投票、イベント当日の一般投票と審査員による審査を経て選ばれた。パッシブハウスは独パッシブハウス研究所が規定する性能基準を満たす省エネルギー住宅の呼称で、断熱材や高性能な窓、熱ロスの少ない換気システムなどを駆使し、自然の力を最大限利用するのが特徴。断熱性、気密性が非常に高く、真冬も暖房なしで過ごすことができるという。
「倉敷の家」は中国地方初のパッシブハウス認定住宅として2016年11月に完成。海外から部材や設備を輸入して建てるのではなく、一般的な住宅でも使われているグラスウール断熱材、国産の樹脂サッシや換気システムなどを使って、年間暖房負荷8.03キロワットアワーの省エネ性能を実現した。
同住宅の建築に携わった同社営業課長の福本邦重さんは「個人的にも初めて見るような外国の高性能なシステムを使った非常に省エネ性能の高い住宅が多かったので、今回の受賞には驚いている。省エネ性能はもちろん、デザインやコストバランスなど総合的な面で評価いただき、とてもうれしい」と話す。「海外の高額な部材を使わなくても厳しい性能基準をクリアできることを提示できたので、国内の建材・設備メーカー、設計事務所、工務店など関係者の共感も得られたのでは」とも。
福本さんは現在、家族とともに同住宅で暮らしている。「家の中では真冬でも半袖、短パン、はだしが基本。寝る時はタオルケット1枚しか使っていない。6畳用エアコン1台で家全体の気温と湿度が23度、50%に保たれるので、脱衣室や風呂場に行くのも苦にならず、子育てにも優しい」と話す。