倉敷市立美術館(倉敷市中央2、TEL 086-425-6034)で現在、コレクション展「酒津焼(さかづやき)の美 -高梁川の恵み-」が開かれている。
酒津焼は、明治初期に始まった倉敷を代表する伝統工芸。高梁川沿岸の町・酒津の土を使い、釉薬(ゆうやく)は生きた海鼠(ナマコ)のようにまだらに発色する海鼠釉(なまこゆう)が特色の一つ。同展では、明治、大正、昭和の各時代に分けて作品29点展示し、その歴史を体系的に紹介する。黒田綾山、衣笠豪谷、稲葉春生ら高梁川流域ゆかりの日本画家たちの作品10点もあわせて展示する。
練り鉢、とっくり、どんぶりなどの雑器を大量生産して栄えていた明治時代の作品、大正時代に大阪の呉服商・伊藤萬のお抱え絵師であった南画家・入江之介が滞在制作した南画風絵付けの作品、京焼の技術を取り入れ、民芸運動の指導者たちを通じ洗練されていった昭和の作品など、時代とともに大きな変化を遂げた歴史を紹介する。
同美術館の担当学芸員は、「酒津焼は、素朴で美しくてバリエーションもあって、民芸の心も受け継いでおり、倉敷の誇れる伝統。この機会にぜひ見て知ってもらえれば」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時~17時15分。月曜休館(9月21日は開館)。9月6日は学芸員によるギャラリートーク(14時~14時40分)を行う。観覧料は、一般=210円、高大生=100円、小中生=50円。9月23日まで。