倉敷・美観地区の帽子店「襟立製帽所 倉敷本町店」(倉敷市本町、TEL 086-422-6544)が、輸入コーヒー豆を入れる麻袋を表素材に使ったハンチングを製作、1月から販売している。
企画したのは社長の襟立重樹さん。ブラジルやコロンビアからの輸入コーヒー豆を入れる「ドンゴロス」と呼ばれる麻袋の質感と模様に着目。同店の近所にあるコーヒー豆販売店&カフェ「自家焙煎(ばいせん)珈琲 尾原」(鶴形)から不要になったドンゴロスを提供してもらい「ドンゴロス・ハンチング」(6,930円)を製作した。
「ドンゴロスは目が粗くほどけやすいので、芯を貼って裁断したものを縫い合わせた。裏地は肌触りを考慮して綿100%に。ハンチングにした理由は、平面部分が広く独特の柄を生かせるため」と襟立さん。ハンチングの後部には岡山の金工作家・坂田圭さんが製作した真ちゅう製のロゴプレートを縫い付ける。「2~3年たつと生地も真ちゅうもいい感じにあせてくるのを狙った」と話す。サイズは平均的な男性の頭に合わせたフリーサイズで、柄は一つ一つ異なる。
襟立さんが積極的に取り組んでいるのは「通常は帽子に使わない素材を使い、帽子メーカーならではの特徴を出す」こと。これまでも、酒袋を表地に使ったハンチングや真田ひもを縫い上げたハット、地元の手拭いを裏地に使ったハンチングなどを手掛けてきた。現在は倉敷の特産品である「い草」を使ったキャップも企画中だという。「どんな素材を使っても、かぶり心地が命。帽子メーカーとして在り続けるためには『奇をてらう』のではなく『奇を整える』ことを意識している。帽子を通して他の地場産業や素材の良さなども伝えていきたい」と話す。
「襟立製帽所」は1960(昭和35)年創業の帽子メーカー。浅口市に本社と工場を持つが、古民家を改装した「倉敷本町店」を「作り手の姿勢を発信するコンセプトショップ」として2010年9月にオープン。7坪の店内に約500点の帽子を並べる。岡山は麦わら帽子をはじめとした帽子産業の中心地だが「知らない地元の人も多いので、広く知ってもらうために出店した。自分で作ったものを自分で売ることで、メーカーでありながらお客さまの声を直接聞けることにも価値がある」と襟立さん。
営業時間は10時~17時。月曜定休。