倉敷・中央の「ギャラリー倉敷」(倉敷市中央1、TEL 086-422-5858)で現在、作品展「美しい驚き 泉谷淑夫展 ~月と羊のファンタジー~」が開かれている。
泉谷さんは岡山大学大学院教授、県美術展審査員なども務める画家で、トリックアート大賞展大賞、岡山県美術展大賞、小磯良平大賞展優秀賞などの受賞経験を持つ。倉敷での個展は13年ぶりで、作品33点(うち新作21点)を展示する。
新作「月と羊のファンタジー」は、22.7×15.8センチの小さなキャンバスに2頭の羊と月を描きこんだ8点からなる連作。それぞれに異なる額縁を付けることで、連作ながら各作品の個性を際立たせている。
「フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち」は、オランダの画家・フェルメールの作品をトリミングした構図で模写し、猫を描き込んだ大胆な構成の作品群。「フェルメールは『光の画家』と称されるが影の描写も素晴らしい。模写によって、微妙な色調を出す勉強にもなり、影の部分の描き方は自分に近いものがあるという発見もあった」と振り返る。
泉谷さんのトレードマークとも言える13匹の羊を描き込んだ幻想的な作品も多数展示。横約2.6メートル×縦約1.8メートルの大作「ENERGY」は、発射されたロケットの噴煙がカボチャ型に広がり、浮遊する羊たちの後ろ姿が噴煙と同化するように描かれている。
「羊を描き始めたのは1986年。ある旅行会社のパンフレットの写真で多数の羊たちが揃って下を向いて草を食べている姿に衝撃を受けたのがきっかけ。一斉に同じことをしている姿に、人間的習性、特に日本人的習性を感じた」と泉谷さん。
「普段からのテーマは『美しい驚き』。描きたいと思わせるような衝撃や感動が原動力になる。作品を見ていろいろなことを考えたり感じたりしてもらいたい。正解はないので自由な気持ちで楽しんでいただければ」と来場を呼び掛ける。
開催時間は10時~18時(最終日は16時まで)。月曜休廊。泉谷さんは毎日在廊する。8月30日まで。入場無料。