倉敷・大原美術館(倉敷市中央1)で滞在制作プログラム「ARKO(Artist in Residence Kurashiki, Ohara)」が行われている。同プログラムの招へい作家・水野里奈さんが現在、同館の礎を築いた洋画家・児島虎次郎の旧アトリエ「無為村荘(むいそんそう)」(酒津)で滞在制作に取り組んでいる。完成した作品は9月から、同館で一般公開する。
ARKOは、「若手作家の支援」「無為村荘内アトリエの活用」「倉敷からの発信」を目的とする滞在制作プログラム。水野さんは約50人の応募者の中から選ばれ、6月に滞在制作を始めた
愛知県在住の水野さんは名古屋芸術大学美術学部卒業後に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了。2015年のVOCA展では奨励賞を受賞している。「重要視しているのは、中東の細密画の装飾性、伊藤若冲の水墨画における筆致の要素、キャンバス地そのものを生かすこと。画面空間を重層的に構成して『見ても見きれない絵画』を目指している」という水野さん。現在、120号キャンバスを4枚並べた縦約2メートル×横約5メートルの大作に取り組んでいる。
鍾乳洞の「満奇洞(まきどう)」、日本の滝百選に選ばれた「神庭(かんば)の滝」など倉敷滞在中に訪れた県内各地の風景、大原美術館所蔵の絵画を研究して得たインスピレーションや技法をもとに作品を描き出していく。
「自分でもまだ試行錯誤中だが、見た人が驚くような作品にしたい。自分もこの作品を早く見てみたい」と意欲を見せる。
開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,300円、大学生=800円、小・中・高生=500円。水野さんの作品展は9月12日~11月19日を予定している。