フードロスと貧困の解決を目指す「コノヒトカンプロジェクト」(倉敷市笹沖)が12月、廃棄される食材を活用したオリジナル缶詰を完成させた。12月7日に県内の養護施設10カ所で配布するほか、企業支援を募りながら児童養護施設や貧困問題改善を目指す支援団体などに定期的に配給していく。
缶詰「コノヒトカン」(160g)は、結婚式場「THE MAGRIT(ザ マグリット)」の佐藤竜吾料理長プロデュースの「ニク」と、岡山県の料理長団体「六式会」プロデュースの「サカナ」の2種。フードロス問題への取り組みとして、切り落とされてしまう肉の脂身や魚の身、形が不揃いなためはじかれてしまうゴボウやレンコンなどを買い取って食材として活用し、県内の加工業者で缶詰にする。
基本レシピは、約2合のご飯と混ぜるだけで作れるまぜご飯。六式会会長で「くらしき 白壁」料理長の藤田弘記さんは、「1缶で手軽に子ども3~4人のお腹を満たすことができる。栄養価に気を配りながら、子どもに好かれる味を目指した」と話す。ホームページではパスタ料理などの応用レシピも掲載していく予定。
同プロジェクト代表の三好千尋さんは「昨年春、コロナ禍で困っている地域の飲食店を元気づけようとマルシェを開いた時、『余っている食材で保存食を作れないか』と考えたことをきっかけに、フードロスや貧困の問題に取り組むプロジェクトに発展した。経済的な貧困だけでなく、地域の中で孤立する『心の貧困』の解決も大切で、まずは大人たちが他人のために協力し合えるコミュニティを作っていきたい」と話す。