倉敷・児島に11月11日、カフェ「ヒュッテ」(倉敷市児島赤崎、TEL 086-473-3336)がオープンした。場所は「備前焼窯元 鷲羽窯」の敷地内。
児島の街を一望できる山の上に位置する同店。今年会社を退職した児島出身の野田淑子さんが娘夫婦と一緒に開業した。店舗面積は16坪、席数は24席。
主なメニューは、日替わりの「野菜いっぱいヘルシーランチ」(880円)で、メーン料理、副菜、3種の煮物、ご飯、汁物、サラダを並べる。追加120円でドリンク、220円でドリンクとデザートが付く。「常に20~30種類の野菜を使う。旬のものは山の下にある中村さんの畑から無農薬野菜を仕入れている」と野田さん。12月からはベトナム風お好み焼き「パインセオ」、ハワイ料理「ロコモコ」(以上550円)、「卵ご飯」(450円)なども提供する。「ランチの数に限りがあるので来店前に電話を頂けると確実」と予約を勧める。
店名は野田さんの両親が1959(昭和34)年から1991年まで児島小川で営業していたレストラン「ヒュッテ」を引き継いだ。「下電ホテルでバーテンダーをしていた父が独立開業したのが両親の『ヒュッテ』。『安くておなかいっぱいになる』と評判で、夕方5時になると市役所の職員たちが行列を作った。ハイボールは1杯50円。スキーやダイビングが好きで50カ国以上を旅した父のキャラクターも愛され、8人掛けのカウンターだけだった店は増築を重ね、児島で知らない人はいないほどの人気店になった。店で出会い結婚したカップルも何組かあったほど』と振り返る。
出店を決意したのは会社を退職した2月。「もともと料理が大好きで、両親の店でも働いていた。店の25周年パーティーで『私が店を継ぐ』と宣言したが、結婚などと重なり実現せず、ずっと心の奥に引っかかっていた」と野田さん。「以前から交流のあった陶芸家・尾鷲孝峰さんの厚意で『鷲羽窯』敷地内の出店が決まった」という。
店舗は野田さんの決めた基本的なレイアウトを基に、娘で画家の裕子さんと夫で陶芸家のドン・パーカーさん、尾鷲さんと息子の高明さんが9カ月かけて手作り。土台の石を積み上げる作業だけで2カ月かかったという。「何もかも初めてで、金づちで何度も指を打ち付けたが『建築』というより『アート・プロジェクト』のようで楽しかった」とドンさん。インテリアデザインを担当した裕子さんがこだわったのはトイレ。「トイレという個人で落ち着く空間を大切にしたかったのでメキシコ風のデザインにした」と話す。店内にはドンさんと裕子さんの作品も展示し販売も行う。
以前の店でシンボル的な存在だったという直径1.5メートルの酒だるのふたを利用した丸テーブルは裕子さん夫婦が研磨・塗装し、新しい丸太の脚を取り付け再生。新しい店の入口付近に置いた。「両親の店のように、会話が弾む場所、出会いのある場所にしたい。ウクレレ演奏会や朗読会、映画やスポーツイベントの上映会も企画している。基本はランチ営業だが、夜景がすてきなので夕刻以降の団体利用の相談も受け付けている」と野田さん。
営業時間は11時30分~15時。水曜・木曜・第3日曜定休。