倉敷・美観地区の老舗ホテル「アイビースクエア」（倉敷市本町）内にある「アイビー学館」（TEL 086-424-0517）で現在、国産イグサ製品の展示販売イベント「倉敷いぐさ祭り」が開かれている。

イグサのブックカバー

　倉敷市を中心とした岡山県南部は、1960年代に畳表（たたみおもて）の生産量で全国1位だった歴史を持ち、大量の中国製品が流通するようになった現在でも国産イグサ製品を製造する老舗企業が市内に拠点を置く。同イベントには、今吉商店（西阿知町）、萩原（同）、沖宗（茶屋町早沖）、建部商店（西中新田）、トクラ（水江）の5社が参加。新作を中心に展示販売する。

　会場に並ぶのは、ランチョンマット、コースター、テーブルセンター、ブックカバー、座布団、ラグ、スリッパなど1000点以上。伝統的な敷物から現代的な生活スタイルに合わせた小物類まで幅広く取りそろえる。

　萩原の豊倉勝男さんは「伝統の技術を引き継ぎながら、『敷物』にとらわれない商品開発を積極的に行っている。雑貨への展開のほか、壁や天井などの建築材への展開なども考えている。10年後にはイグサの使われ方が大きく変わっているのでは」と展望を語る。

　展示会場は124年前に建てられたレンガ造りの紡績工場を改装したもの。イベントを企画した同ホテル企画部文化事業課の森貴彩さんは「綿もイグサも倉敷を支えてきた重要な繊維産業。伝統文化を象徴するこの空間で、ホームセンターでは見ることができない質の高いものを生活の中に提案していきたい。トレンドを踏まえた各社の意欲的な新作がそろっているので、実際に触れて国産イグサの魅力を感じてほしい」と来場を呼び掛ける。

　開催時間は9時～17時。6月9日まで。