倉敷の小学生が飼育しているカブトムシが6月、オスとメスの特徴を合わせ持つ珍しい個体「雌雄(しゆう)型」であることが分かった。
尊くん飼育の「雌雄型」カブトムシ(倉敷市立自然史博物館提供)
第一福田小学校6年生の遠藤尊くんは2年前、弟の翔くんと母親の智恵子さんと一緒にカブトムシの飼育を始めた。5月末には、昨年のカブトムシが産んだ卵90個の羽化が始まったが、その中に1匹だけ「変な形」のカブトムシがいることに気付き、3人で倉敷市立自然史博物館に持ち込んで鑑定を依頼したという。昆虫担当学芸員の奥島雄一さんが調査したところ、「雌雄型」であることが確認された。
同個体は体長4.7センチで、体の中央から左側はほぼオスの特徴を備えており、右側は部分的にメスの特徴を備えている。頭部の角は中途半端な長さで左右非対称、胸や前ばねの右側にはメスの特徴である「つや消し」部分があり、左脚と比べて太く短い右脚にもメスの特徴が見られる。
奥島さんは「統計学的な数値はないが、昆虫の雌雄型は非常に珍しい」と話す。同館では昆虫標本を約51万点管理しているが、うち雌雄型の標本は6匹(スズムシ、カブトムシ、ツバメシジミ、ウスタビガ)という。
「珍しいカブトムシを持っていると分かってうれしい」と話す尊くん。引き続き自宅で飼育を続けるが、ゆくゆくは同館に標本として寄贈するという。