倉敷で和傘の製造・修理などを手掛ける「工房 和傘屋」（倉敷市東町、TEL 080-1929-0335）が11月、和傘のレンタルサービスを始めた。

和傘を制作する小林旅人さん

　同工房の和傘職人・小林旅人さんが「古い街並みが残る倉敷を和傘をさしながら歩くことで、いい思い出を残してほしい」と企画した。レンタル向けの和傘は、美観地区の雰囲気に合わせて江戸～昭和初期をテーマに選んだ10種。着物の女性に合う大きさの蛇の目傘、普段着に合う小さめの番傘、男性向けの番傘などを取りそろえ、24時間レンタルコースも用意する。「夜の美観地区もとても雰囲気がいいのでお薦め」と話す。

　小林さんは、楽器メーカーで国内外有名アーティストのエレキギター製作に携わった経験を持つが、鳥取県の「淀江傘（よどえがさ）」の和傘職人との出会いをきっかけに、5年前に和傘職人に転身した。現在、年間約200本の和傘を制作するが、和傘文化の研究と継承にも力を入れる。資料として全国から集めたさまざまな古い和傘を「自分の師匠たち」と呼び、古い書物や浮世絵などを通じて当時の和傘の柄や素材なども入念に研究している。

　「和傘のような伝統技術は、一度途絶えてしまうと永遠に失われてしまう。そうならないように、知ってもらうための努力をしていきたい。和傘をさしながら美観地区を歩いて楽しんでもらうことで記憶に残り、記念写真を撮ればそれが後世に記録として残る可能性もある」と文化継承への思いを語る。

　「和傘を通じて、倉敷の雰囲気を楽しんでもらい、また来たいと思ってもらえるきっかけになれば」とも。

　レンタル料金は2時間＝1,000円～、1日（24時間）＝2,000円～。事前予約制。