一般社団法人高梁川流域学校(倉敷市中央2)が主催する「高梁川志塾」の開校式が11月3日、倉敷市芸文館(倉敷市中央1)で行われた。
「高梁川流域学校」は、高梁川が育んだ風土、文化を後世に伝える団体として、2015(平成27)年に設立した。これまでは、民俗学者・神崎宣武さんの「備中志塾」や、高校生や大学生が地域の高齢者に話を聞く「備中聞き書き」などを開催してきた。代表理事の坂ノ上博史さんは「高梁川と支流の流れる7市3町で育んできた地域特有の風土や文化を、後世に伝える事業を行ってきた」と話す。
「高梁川志塾」は、高梁川流域の持続可能な社会を築くための人材育成を目的としている。高梁川流域の自然や歴史、文化やSDGsの観点からこれからの生き方など、41コマの講義を約3カ月間で行う。受講生は、大学生、会社員、行政職員、地域おこし協力隊、企業経営者など22人。
同校の講義は、3つのテーマに分かれている。「SDGsビジョン編」では、高梁川流域でのSDGs達成に向けて活動している人たちのビジョンや現状の取り組みについて学ぶ。「教養編」では、高梁川流域における歴史、文化について学習し、地域についての基礎知識を身に着ける。「スキル編」では、プレゼンテーションスキル、ITツール、の活用方法などを学習し、受講者が個々の活動を継続するためのスキルを習得する。
講師は、民俗学者の神崎宣武さん、「共存の森ネットワーク」(東京都世田谷区)理事長の澁澤寿一さん、「大原美術館」(倉敷市中央1)理事長の大原あかねさん、創庵(東京都目黒区)社長の佐々木博さん、アイデア創発&合意形成ファシリテーターの矢吹博和さんなど文化、芸術、ITなどの分野の専門家が登壇する。
坂ノ上博史さんは「経済成長を通して貨幣価値のあるものに注目が集まるようになり、言語化や数値化しきれない文化や風土が置き去りになった。高梁川流域を持続可能な社会には、流域の歴史を学び、未来を描く必要がある。高梁川志塾を通して、流域の担い手を育てたい」と話す。