鶏卵生産などを手掛ける畜産会社「のだ初」(倉敷市玉島柏島)が4月29日、養豚場「タツリュウ牧場」を経営する清掃・リサイクル会社「立龍美掃」(平田)と共同開発した新商品「おかやま甘ぃ~豚(すぃ~とん)」の販売を始めた。
「おかやま甘ぃ~豚(すぃ~とん)」の商品ラインアップは、ロース、バラ、モモの精肉、煮豚、ローストポークの加工品など。肥育はタツリュウ牧場、加工はのだ初が手掛け、のだ初の直売店「うぶこっこ家」(玉島勇崎、TEL 086-523-1050)で販売する。
タツリュウ牧場では、食品工場、給食センター、大手パン製造工場で作りすぎた、ライス、焼きそば、スパゲティ、うどん、パン、野菜の切れ端などを活用して製造した飼料「エコフィード」を豚の肥育飼料として使っている。野田裕一朗社長は「人間と同じ物を食べてゆっくり育てており、肉は柔らかく、脂は甘く、しゃぶしゃぶでもアクが出にくいのが特長」と話す。
野田社長によると、新商品開発のきっかけは偶然から生まれたという。2年前、のだ初が多拠点に点在する施設を集約するために吉備中央町にある養鶏場の売却先を探した時に手を挙げたのが、隣の土地で養豚場を営む立龍美掃だった。それまで、お互いの存在は認識していたものの、業種が異なるため交流は一切なかったという。両社の経営者が譲渡契約押印のために初めて顔を合わせた際に、雑談の中からお互いの事業内容や悩みが明らかになった。
タツリュウ牧場の豚は、大きくなるまで通常の豚よりも時間をかけて育てるため、通常ルートでは「規格外」になってしまうなど、流通・販売面での悩みを抱えていたという。のだ初は既に食品加工施設と直売店を持っていたため、養豚と養鶏の垣根を越えた協業へとつながった。
「自分たちにとって産業廃棄物でしかない鶏ふんも、農業では堆肥としての価値を持つように、普段は接点のない第一次産業同士がお互いのニーズを補えば新しい価値を生み出せる。この動きが全国でも広がってほしいという願いを込めて『ネオ6次産業』と呼んでいる」と野田社長。
「養鶏と養豚が手を組むだけでなく、農業や漁業と協業してもおもしろい。第一次産業が強くなることで日本の産業全体が強くなるのでは。今後もこの分野に力を注いでいきたい」と意欲を見せる。
うぶこっこ家の営業時間は10時~18時。