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倉敷の工芸作家が個展-工業用ナットから手作業で指輪製作

「作家活動13年間の集大成」と話すカワベマサヒロさん

「作家活動13年間の集大成」と話すカワベマサヒロさん

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 アートギャラリー「ALAPAAP(アラパープ)」(倉敷市児島唐琴町、TEL 086-470-1515)で現在、工芸作家・カワベマサヒロさんの個展「刻々」が開かれている。

ステンレスの棒材を削り出して作った「耳かき」

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 カワベさんは、ナットやボルトなどのステンレス製工業部品を削り出してアクセサリーを製作する工芸作家。同展では、指輪、ブレスレット、ペンダント、スカーフどめ、耳かきなど約100点を展示・販売する。来年以降は「原点である指輪作りに専念する」ため、指輪以外の作品の展示・販売は同展が最後。「作家活動13年間の集大成」と意欲を見せる。

 作品製作は全て手作業。手に持ったやすりを使い分けて削り出し、必要に応じて模様を刻み込む。サンドペーパーで磨き上げる作業は7段階あるため、指輪1個の製作に1~2日はかかるという。

 カワベさんが工業部品からアクセサリーを作るきっかけとなったのは、水島工業地帯の機械整備士として就職した際に出会った、年配の職人が身に着けていた手作りの指輪。「削ったところが削れ、磨いたところが光る」とだけ教わり、製作方法はすべて独学で習得した。「職人たちの間でアクセサリーに加工する技術を競い合う文化は、ステンレスが貴重だった60年ほど前から存在していた。表舞台に出ていないだけで、伝統工芸の一つと捉えている」とカワベさん。「ステンレスは丈夫で、さびや腐食の心配がないので面倒な手入れも必要ない。身に着けるとしっとりとした質感で、人肌との相性もいい。アクセサリーに適した深みのある素材」と魅力を語る。

 「父は海底工事に携わる潜水士、母はミシンの内職で地元の繊維産業に関わっていたので、技術職というものを肌で感じて育った。自分も、児島を拠点にした『もの作り』にはこだわりたい。自分の作品を見るために児島まで足を運んでくれたらとてもうれしい。手に取って、身に着けた時の感触を体験してほしい」と話す。

 開催時間は12時~19時(土曜・日曜・祝日は10時~)。火曜定休。カワベさんは土曜・日曜・祝日に在廊予定。29日まで。

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