倉敷・大原美術館(倉敷市中央1、TEL 086-422-0005)で現在、企画展「ARKO(アルコ)2017 水野里奈」が開かれている。
ARKOは、「若手作家の支援」「同美術館の礎を築いた洋画家・児島虎次郎が暮らした無為村荘(むいそんそう)内アトリエの活用」「倉敷からの発信」を目的とする滞在制作プログラム。水野さんは約50人の応募者の中から選ばれ、6月から3カ月間滞在制作を行った。
愛知県在住の水野さんは、名古屋芸術大学美術学部卒業後に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了。2015年のVOCA展では奨励賞を受賞している。
同展で展示するのは、滞在中に制作した油彩画4点、習作素描12点。メインの作品「From now on」は、194センチ×521センチの大作。「中東の細密画における針で描いているかのような緻密さと水墨画のタッチを油彩画に取り入れ、キャンバス地の麻の色を生かして描くことを目指した。このサイズは初めてだったので、『完成するのだろうか』という不安とわくわくを感じながら制作した」と振り返る。
制作にあたり、セガンティーニ「アルプスの真昼」、児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」など同美術館の所蔵作品を入念に取材し、細部の描き方などを研究した。県内の滝や鍾乳洞などにも足を運びインスピレーションを得たという。
「無為村荘のアトリエは自然光が美しく、幼いころに住んでいた山の暮らしを思い出した。今回の制作で新しい感覚もつかめたので、次に描く時には違ったものができるのでは。『見ても見きれない絵画』を目指しており、今回の作品にも仕掛けがあるので、いろいろな方にそれぞれの感性で見てもらえれば」と話す。
開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,300円、大学生=800円、小・中・高生=500円。11月19日まで。