倉敷・美観地区の大原家旧別邸・有隣荘(ゆうりんそう、倉敷市中央1、TEL 086-422-0005)で現在、企画展「三瀬夏之介 倣玉堂(ほうぎょくどう)」が開かれている。主催は大原美術館。
有隣荘は、大原美術館を創設した大原孫三郎が1928(昭和3)年に建設した別宅。普段は非公開だが、春と秋に期間限定で一般公開し、同館の特別展示を行っている。今回は、日本画家で東北芸術工科大学芸術学部教授の三瀬夏之介さんを招き、江戸時代に活躍した岡山出身の文人画家・浦上玉堂(うらかみぎょくどう)にインスパイアされた新作を中心に空間を構成する。展示のサブタイトルには「玉堂に倣(なら)う」との意味を込めた。
メインとなる作品「倣玉堂」では、玉堂作品に見られる円や赤い点を「音楽的なリズム」と捉え取り入れたという。玉堂の「秋山吟嘯(ぎんしょう)図」と対比する形で展示する「小盆地宇宙」は、独自文化が形成され完結する盆地をモチーフにしつつ、外の世界とのつながりを暗示する。銅のさびを活用した作品群「Rust Work」では、気温や湿度で色の出方が変化することを逆手に取り、「自然と自分の間で生まれる作品」と位置付ける。
三瀬さんは「玉堂の生き方、オリジナリティーへのこだわりなど、自分の感性にも合い通じる部分がある。玉堂のタッチから感じられるリズムなどを自分なりに解釈し、オマージュした作品をそろえた。自分の作品展というよりは、大原美術館、有隣荘、玉堂との対話から生まれたような展示になっている」と話す。
同美術館の分館では、三瀬さんが2007年に同館の滞在制作プログラムで完成させた大作「君主論-Il Principe-」も展示している。
開催時間は10時~16時30分。料金は、一般=1,000円、小学生~大学生=500円。11月4日まで。