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画家・黒宮菜菜さん、倉敷で滞在制作 「獄門島」テーマの大作など

無為村荘で滞在制作中の黒宮菜菜さん

無為村荘で滞在制作中の黒宮菜菜さん

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 倉敷・大原美術館(倉敷市中央1)で滞在制作プログラム「ARKO(Artist in Residence Kurashiki, Ohara)」が行われている。同プログラムの招へい作家・黒宮菜菜さんが現在、同館の礎を築いた洋画家・児島虎次郎の旧アトリエ「無為村荘(むいそんそう)」(酒津)で滞在制作に取り組んでいる。完成した作品は10月から、同館で一般公開する。

染料のにじみを生かしながら和紙に描く黒宮菜菜さん

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 ARKOは、「若手作家の支援」「無為村荘内アトリエの活用」「倉敷からの発信」を目的とする滞在制作プログラム。黒宮さんは約50人の応募者の中から選ばれ、6月下旬に滞在制作を始めた。

 京都在住の黒宮さんは、京都造形芸術大学を卒業後に京都市立芸術大学で芸術学の博士学位を取得。2017(平成29)年に京都市芸術新人賞、2018(平成30)年に岡本太郎現代芸術賞入選などを果たしている。

 今回の滞在制作では、戦時中に倉敷市真備町に疎開していた推理作家・横溝正史の代表作「獄門島」をテーマに選んだ。「もともと小説や物語が好きで、そこから着想を得た作品を作ってきた。『獄門島』は横溝作品の中でも異質で面白い。瀬戸内の島という閉じられた社会で、事件と共にコミュニティーが崩れていく様子など、作品のテーマとして描きたいと感じた」と黒宮さん。滞在時には獄門島のモデルの一つになったと言われる真鍋島(笠岡市)を訪れ、年配の島民から昔の写真を見せてもらいながら話を聞いたという。

 縦227センチ×横145センチの大型キャンバス3枚には、同作品中で殺される3姉妹の姿を描く。下地にはアクリル絵の具で模様を描き、その上からシルクスクリーンで主題となる絵を転写し、油絵の具の溶剤を流し込んでにじみを出す。さまざまな技術を立体的に組み合わせることで、描写の緻密さとにじみの偶発性が絡み合い、幻想的な深みを生み出すという。

 「自分にとっては一つの絵画作品でも、見る人が絵の中の物語や制作の技法などにも興味を持ってもらえればうれしい。『どうやって描いたのだろう』と考えながら、近づいたり離れたりする体験を楽しんでもらえれば」と話す。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,300円、大学生=800円、小・中・高生=500円。黒宮さんの作品展は10月1日~12月27日。

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