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倉敷・大原美術館で久松知子さん作品展 館の歴史と物語、作品に織り込む

メイン作品「物語との距離(2018、夏、倉敷)」と久松知子さん

メイン作品「物語との距離(2018、夏、倉敷)」と久松知子さん

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 画家・久松知子さんが倉敷で滞在制作した作品を発表する企画展「ARKO(アルコ)2018 久松知子」が現在、大原美術館(倉敷市中央1、TEL 086-422-0005)で開かれている。

無為村荘のアトリエで制作に取り組む久松知子さん

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 ARKOは、「若手作家の支援」「同館の礎を築いた洋画家・児島虎次郎の旧アトリエ・無為村荘(むいそんそう)の活用」「倉敷からの発信」の3点をコンセプトに、作家を招へいし、無為村荘での滞在制作を経て作品発表を行うプログラム。

 三重県出身の久松さんは現在、東北芸術工科大学大学院博士課程在学中。今年6月に倉敷での滞在制作を始め、約3カ月間で作品を完成させた。「暑くて大変だったが、できることはやりきった。過酷な環境だったので肉体的にも精神的にもタフになれた」と振り返る。同展では大小取り混ぜた絵画作品7点を展示する。

 メインとなる作品は、200号Mサイズのキャンバスを3枚合わせた縦2590センチ×横4860センチの大作「物語との距離(2018、夏、倉敷)」。キャンバスには、無為村荘のアトリエに置いたキャンバスに画を描く久松さんが描かれており、その画の中には大原美術館に関わる実在の人物や同館が所蔵する作品なども描かれ、「画の中の画の中に画がある」入れ子構造になっている。人物たちは、棟方志功、柳宗悦、大原総一郎など歴史上の人物と、現代の同館理事長や館長らが時空を超えて同じ場所に描かれている。

 久松さんは「画の中に描かれた人物はそれぞれの物語を持っているが、見る人によってその物語との距離感は違ってくる。作品には、無為村荘のアトリエと大原美術館の歴史や物語、日本の近代美術の歴史を織り込んでいるが、作者の意図やメッセージとは別に、見る人によって想像は広がっていくもの。見た人たちがどう感じるか興味がある」と話す。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,300円、大学生=800円、小・中・高生=500円。11月11日まで。

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